ペットブームの一方で、迷子になるペットが増えている。栃木県大田原市ではそのような実状を踏まえ、2006年から、市ウェブサイトに迷子ペットに関する掲示板『ペットかわら板』を開設し、情報提供を始めた。迷子ペットについて情報交換できる場を設けることで、ペットと飼い主との再会を促していく。
『ペットかわら板』の「迷子ペット情報」のコーナーでは、ペットを探す飼い主、または迷子ペットを保護した人から、そのペットの写真や、ペットの種類、名前、特徴、いなくなった(保護した)日時や場所、連絡先などの関連情報を投稿の形で受け付け、掲載する。掲載情報に心当たりのある人は、投稿者(飼い主または保護した人)に直接連絡し、情報を交換し合う。無事ペットが見つかったら飼い主は市に連絡し、市はその旨を掲載する。
また、『ペットかわら板』では、ペットの里親を募る「里親募集」のコーナーも設け、何らかの事情で元の飼い主が飼えなくなったペットと、新たに動物を飼いたいと考えている人とを結び付けている。
『ペットかわら板』がスタートしたのは2006(平成18)年2月。開設のきっかけを市担当者に聞いた。
「『ペットかわら板』は人間と動物とのよりよい関係を築こうというのが基本的な目的ですが、直接的なきっかけは、昨年(2005(平成17)年)の夏ごろに掲載された新聞の投稿記事でした。ある市民が、いなくなった飼い犬を必死で探しましたが、分かったときには既に殺処分されていて、ひどく悲しんだというものでした。
現在、大田原市の蓄犬登録数は4,000頭弱ですが、犬や猫を飼う人が多くなるにつれてペットの迷子などが多数発生しています。投稿記事のように死んで発見されたペットや、見つからないままになっているペットも多数いると思われます。一方で、里親を探せないことが捨て犬や捨て猫の原因にもなっています。
地元の新聞には有料による迷子ペット情報のコーナーがあります。家族同然に思っている飼い主にとっては、金額は問題ではないかもしれませんが、無料で情報交換できる場があれば、それに越したことはないと思い開設しました」(企画政策課情報管理係・平山稔さん)
解決した事例を含め、2006年7月末現在、迷子ペット情報7件、保護ペット情報が3件、里親募集情報8件が掲示されている。ペットの種類では犬と猫のほか、インコの迷子情報もある。インターネットを使えない人でもこのサービスの存在を知っている人は多く、市役所が探してくれるものと勘違いして直接来庁する市民もいるという。
「このサービスは市内在住とは限定していませんので、ペットを飼っている、飼いたいと考えている人たちの広域的な情報交換の場になればと思っています。徐々にですが、アクセス数も増えています。アクセスが増えれば投稿者が増え、情報提供者も増えるという相乗効果により、やがてはペットを飼う人、飼いたい人の必須(ひっす)サイトになればと思っています」(平山さん)
『ペットかわら板』トップページ |
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『ペットかわら板』では、迷子にならないための対策や捜索活動の注意点、迷子ペットを保護した場合の注意点なども紹介されている。 |
(2006年8月掲載)