埼玉県宮代町は、インターネットを活用した住民向けサービスや情報配信にいち早く力を入れてきた自治体である。その公式サイト『電脳みやしろ』は、2002(平成14)年に行われた「日経インターネットアワード」自治体・教育・NPO部門で地域活性化センター賞を受賞し、また、2000(平成12)年全国広報コンクール・ホームページ部門でも最終審査にノミネートされるなど、対外的にも高い評価を受けている。
サイトには、各種申請書・届出用紙や広報紙のダウンロードサービス、町内で行われる行事を日付や会場ごとに調べることのできる「宮代情報チャンネル」などのコーナーが設置されている。それらに加えてユニークなのが、「宮代30秒ニュース」というコーナー。町内で開かれた成人式や運動会、宮代町内の五社神社で行われる厄除(よ)けのためのみかん投げなど、様々な町の風景を30秒の映像にまとめて配信を行っている。
更新は平均2日~1週間に一度のペースで行われ、現在ウェブサイト上には数多くのバックナンバー映像が掲載されている。コンスタントに宮代町の出来事を映像と音声で知ることができる身近なコーナーとして、住民にも好評だ。動画1本当たりのファイル容量は平均約1メガバイトと低容量であり、視聴者の回線状況にも配慮した親切なつくりとなっている。
「テーマ性のある長編映像の作成が目標」
吉永吉正さん/宮代町総務課秘書広報室
「宮代町では、ウェブサイト全体の構築や作り込みは情報政策課が行い、そこに入れ込む内容の制作は、行政情報は各担当課が、まちの話題などのニュース物は総務課広報室が行っています。もともと町のIT化の一環として誕生した『電脳みやしろ』ですが、気をつけていることは情報を充実させながらも個別の情報の「軽さ」を保つことです。「宮代30秒ニュース」も、できるだけ多くの人に気軽に見てもらえるように、30秒という短い時間で、ファイル容量を抑えた作りを心がけています。
動画の作成は、町の広報紙『広報みやしろ』の取材と並行して行います。動画配信するためビデオカメラを購入し、映像・音声の編集からアップロードまで、すべてを広報室が行っています。最初はビデオカメラの説明書や編集テクニックが掲載されているパソコン雑誌と格闘しながらの手探り状態でしたが、現在では更新作業もスムーズに行えるようになってきました。
『電脳みやしろ』には、宮代町の自然や市民農園、宮代ブランドの農作物のあり方などを考える「農のあるまちづくり 山崎山博士研究所」という特集ページがあり、この中で「山崎山博士劇場」という動画コーナーを設けています。1分から6分程度の動画を全11話形式で掲載し、架空のキャラクターである山崎山博士が、助手とのコミカルなやりとりを通して宮代町の「農」のあるまちづくりについて説明していくというものです。「宮代30秒ニュース」の今後の目標は、30秒という枠にとどまらずに、「山崎山博士劇場」のようなよりテーマ性のある長編映像を掲載していくことです。
町の日常を手軽に見ることができる30秒のニュースに加えて、まちづくり計画など深みのある話題を取り上げた長編映像もつくっていきたいと思います。」
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タイトル横にあるeYAKUBAという文字が示すとおり、詳細な町内ニュースに合わせて多くの住民向けサービスが設置されている。 |
「宮代30秒ニュース」 |
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手軽な映像情報が魅力の「宮代30秒ニュース」。画像はコーナー内右下にリンクが張られている「電脳みやしろ構築レポート」から。『電脳みやしろ』を立ち上げるまでの職員の奮闘ぶりが映像で記録されている。 |
(2003年掲載)