自治体の広報課を舞台に、2015年に発刊されたミステリー小説『謎解き広報課』が、文庫版として出版された。主人公は、“頑張らない主義”の新卒広報ガール。広報紙づくりに追われながら、次々に起こるミステリーを解明していく。
当時の広報担当者を取材し、書き上げられた同書には、全国広報コンクールや内閣総理大臣賞、特選・入選を受賞した広報紙など、随所にリアルな情報や実話をベースにしたエピソードが登場。“謎解き”の要素を含んだ架空の物語であるものの、自治体広報の現場をリアルに描いたノンフィクションとしても楽しめる。
※『広報』2018年2月号に、天祢涼氏のインタビュー記事を掲載
都会育ちの新卒公務員・新藤結子は、訳あって東北地方の田舎町「高宝町」に就職。やる気も地元愛もまったくない彼女が配属されたのは、なぜか広報課。過去に広報を担当していたという上司・伊達輝政のもと、広報紙のリニューアルを命じられる。目的は「町民に町を愛してもらうこと」。嫌々ながらも取材に向かう結子を待ち受けていたのは、さまざまな謎や事件だった。広報紙の廃刊を口にする町長や、左遷されてきた新聞記者たちに囲まれながら、謎解きと広報紙づくりに奔走する。謎や事件の真相は? 広報紙は廃刊か、存続か? 新人広報ガールの1年間を、ときにコミカルに、ときにシリアスに描いた連作ミステリー。
あまね・りょう/1978年生まれ。『キョウカンカク』で第43回メフィスト賞を受賞し、2010年にデビュー。2013年『葬式組曲』が第13回本格ミステリ大賞の候補作に。同作に収録されている『父の葬式』は第66回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補作にも選ばれた。その他の作品に、『希望が死んだ夜に』『透明人間の異常な愛情 ニュクス事件ファイル』『彼女が花を咲かすとき』などがある。