治体議会改革フォーラムは、2001年に始まった「市民と議員の条例づくり交流会議」の活動が発端であった。文字どおり、市民と議員が政策をつくり、条例として実現していくための知恵と経験の共有のための場を設けようという取り組みであったが、議員立法による条例づくりは期待したようには進まなかった。
「議会が政策づくりの場であるという認識そのものが広がっていかず、また、自治体議会の実情を知れば知るほど、市民と議員が政策を実際につくっていくための条件がそもそも欠けているのではないかとの思いをもたざるを得ないのが実情であった。まず議会のあり方を変えることから出発する必要があるのではないか」(フォーラム呼びかけ人代表の廣瀬克哉氏「刊行にあたって」より)
2006年、北海道栗山町議会による議会基本条例制定の取り組みを足がかりに、その知見を学び、共有していくことで、議会改革を全国に広げていこう――この運動を展開するため、フォーラムは誕生した。
その議会基本条例は2008年末までに全国31議会で制定され、また、何らかの形で議会改革に取り組んでいる議会の割合は4割以上にのぼる。議会基本条例には、議会を「市民参加の場、市民との多様な意見交換の場」にするねらいもある。
本書は、「議会基本条例の展開と実践――現場からの報告」「議会改革の最前線を追う――先進議会の取り組み評価」「議会改革の到達点と今後の課題」(第3章)、「全国自治体議会運営実態調査結果報告2007・2008」の4章構成。廣瀬氏を含む研究者や現職の議員20人が寄稿。先進議会による現場からの報告は、議会改革の方向性を考えるためのヒントを与えてくれる。
「議会はメディアである」と語る廣瀬氏。自治体議会改革が進む中で、議会がより身近に感じられるようなコミュニケーションのあり方が問われている。