『行政カタカナ用語集』(2003年10月発刊)の改訂版。初版と同様、著者代表が、明治大学大学院の研究者などと共同で執筆した。分かったようで分からない難解な行政用語や新しい行政手法・概念など、行政カタカナ用語1,500用語を収録。「行政」「経済」「IT」「福祉・医療」「教育」「環境」など分野別に50音順で列記し、行政改革や行政運営の議論に欠かせない言葉は「現代行政用語」として詳細な解説を付けている。
監修・著者代表の中邨氏は巻頭で、「とりわけ行政では、カタカナ表現の使用には慎重でなければならない」と指摘。「高齢者人口が増加する現在、カタカナ表現の多用は一部の住民を苦しめ、彼らを自治体行政の片隅に追いやる危険性もある。できる限りカタカナ表現は日本語に置きかえ、すべての住民が理解できる共通言語が行政運営の基本でなければならない」と強調する。
中邨氏は、「行政実務の担当者しか理解できない用語が増加している」とし、一例として「アダプト・プログラム」を挙げる。本書では「アダプト」を「採用、採択する。養子にする」と解説し、さらに現代行政用語の詳細解説を記載。「地域住民や企業などと行政とが協力して進めるまちの美化運動のこと」として、元来の「養子にする」の意味から転じて、「地域住民や企業などが『里親』となって道路や河川をはじめとした公共の場所を『養子』として清掃、美化運動を行い、行政がその活動を支援することを意味するようになった」と、用語の背景などを解説している。