著者はビジネスコンサルタントで、企業や自治体などで、「仕事力の磨き方」や顧客(住民)満足度の向上、人材育成などをテーマにした研修や講演の講師を務める。
著者は「まえがき」で、「自治体や役所を取り巻く環境が大きく変わっている中で、公務員自身にも変化対応が求められている。にもかかわらず、旧態依然とした公務員のDNAによって、全体的にはそれほど変わっていない」と指摘する。本書でいう公務員とは、役所だけでなく、公立病院や国の出先機関、公益法人などの職員も含む。本書は特に、公務員の中堅クラスに“DNA改革”を求めている。その理由として、「役所の今後に危機感をもっている」「役所の将来を背負う責任がある」「現場のことがよくわかっている」「まだ柔らか頭が残っている」などを挙げる。
6章構成で、「『住民満足度を高める』13のポイント」「『仕事の効率と質を上げる』14の実践術」「『コミュニケーション力をアップさせる』15のコツ」「『自分を活性化する』11の方法」など、アドバイスは77項目。それぞれ挙げるポイントや実践術が、実際にあった公務員の行動例をもとに、それに対するアドバイスを具体的に示していて分かりやすい。
例えば、「住民満足度を高める」ためのポイントの一つ、「聞かれなくても情報の提供をする」では、住民からの質問やクレームにマニュアルどおりの対応をしてしまい、かえって相手を怒らせてしまったケースを挙げ、「聞かれなくても、『マニュアル+情報の提供』をすることが大切~(中略)~そのためには、住民に役だつ情報を常に収集する」ことが必要とアドバイスする。
また、足腰が弱く役所に出向いて手続きができない高齢者に、自身の判断で、書類の受け渡しを代行するなどできる範囲で手助けしているという東北地方の公務員の例を挙げ、住民に対し「決められたことを、決められたとおりに正しく“答える”」のではなく、「知識や知恵をフルに発揮して柔軟に“応える”」努力を求めている。