NHK放送文化研究所が5年おきに実施してきた「日本人の意識」調査が、2003年の第7回調査で30年の節目を迎えた。本書は、この調査結果の蓄積をベースに現代社会のメディアとオーディエンス像を解明しようと企画されたもの。
執筆は、同研究所研究員のほか各方面の学識経験者を含め計13人が担当。「メディアがおかれた社会・歴史的文脈」「メディアオーディエンスの様相」「メディア文化の軌跡と日本人の意識の未来」について、それぞれ専門的観点から分析と考察が記されている。
河野啓・同研究所主任研究員は、1章「現代日本の世代」の中で世代を析出し、各世代の意識の特徴を描き出している。その中から、現役の広報担当者が多く属するであろう新人類世代(1954~1968年生まれ)と、団塊ジュニア世代(1969~1983年生まれ)の特質をピックアップしてみよう。
新人類世代:小学生のときから自宅にテレビ。高度経済成長後期に育つ。仕事と余暇の両立志向が強い。支持政党なしの政党離れが進む。男女平等志向は、前の世代(団塊世代、第一戦後世代など)よりも大きく進展。
団塊ジュニア世代:生まれたときから自宅にテレビ。成長過程にバブル崩壊または崩壊後に育つ。日本人のすぐれた素質を否定。職場の同僚とは適度な付き合いを重視。男女平等志向はさらに進展。
他の章でも「高齢者のメディア生活における光と影」「メディア変動と世論過程」「日本人の意識の未来」など、興味深い考察が多い。