自治体の男女共同参画センターなどが開設する男性専用の相談窓口が人気を集めているという。本書の第3章「相談する男たち」にも、そうした相談現場を訪ねる男性たちの姿が描かれている。
もともと開設していた女性の相談窓口に男性から、「相談は受け付けてもらえないのか?」といった問い合わせがあったのがきっかけで男性にも相談事業を広げた大阪市男女共同参画センターには、2006年度、前年度の1.6倍の男性相談が寄せられた。30~50歳代を中心に、DVなど夫婦間の問題、パワーハラスメントなど会社の人間関係、子どもとの問題、男性更年期障害などが多い。
著者は、大手新聞社が発行している週刊誌の記者。サラリーマン読者が興味をひくテーマを中心に、収入格差や成果主義人事制度、ミッドライフ・クライシス(中年の危機)などを取材するうちに、「男性たちが、そうした社会で表面化した問題とは別の次元で、『男』として、うちに秘めた心の痛みを抱えていることを知る。~(中略)~彼らは、仕事や家庭、女性との関係、心身の不調などさまざまな問題に、もがき苦しんでいた」(はじめに)。取材を進めるうちに、相談する男性たちの多くが、その心に男性特有の深刻な問題を抱えていることが分かってきたという。その問題とは……
男性相談について著者は、「そうした男性たちのつらい思いを受け止める場が少しずつ広がっていることは、大きな前進だと思う」(第3章)と語る。そのほか、「結婚できない男たち」(第1章)、「更年期の男たち」(第2章)、「父親に『なりたい』男たち」(第4章)。