「広報・パブリックリレーションズ」を体系立てて学ぶことのできる入門書。入門というだけあって、各章とも分かりやすく解説されている。編著者は、東京経済大学名誉教授の猪狩誠也氏(日本広報協会・広報アドバイザー)。
「パブリックリレーションズ(public relations)」とは、「『あらゆる組織は公共(パブリック)との関係を大切にしなければならない』という認識から生まれた概念」のこと。「企業にせよ行政にせよ、現代はこれを何よりも重視すべき時代」であり、「『宣伝』とほぼ同義語になってしまった『ピーアール(PR)』とは異なる概念である」(まえがきより)。
また、コミュニケーション活動の基本について、「(コミュニケーションする対象を)漠然とした対象ではなく、一つの人格をもった人物像を想定し(その人物に)最も影響を与えるメディアは何かなど、新しい方法を見つけ出すことも広報パーソンたちの仕事である」。さらに、「広報という言葉は“広く知らせること”ととらえがちだが、コミュニケーションの基本は1対1の対話が基本であることを忘れてはならない」とも。
危機管理と広報、インターネット広報、行政・公的機関における広報・広聴の章もあり、広報・パブリックリレーションズの現在を総合的にとらえることができる。