青山元東京都副知事ほか4人の都庁幹部職員が、自分たちが今までに遭遇した危機にどう対処したかについて反省や検証を行った研究会の結果をまとめているのが本書。理論から実践までを網羅した自治体危機管理マニュアル本ともいえ、幹部はもちろん、現場の自治体職員にとっても役立つ内容だ。
危機管理に対して、専任の担当者を置いている自治体はまだまだ少ない。また、危機管理は、自然災害に限らず、事故・犯罪・不祥事など様々なものがあり、さらに、それぞれの担当分野にまたがってかかわる問題が多い。それだけに、すべての職員が危機管理を理解し、対処方法について日ごろから備えておく必要があると訴える。
「危機にあっては、自治体職員の存在そのものが問われます。私たち職員一人一人の、日頃の能力のすべてが白日のもとにさらされ、試されます。しかもその危機は、現代では、自然災害や大事故に限らず、ときには私たちの組織から発生する諸問題による危機であったりします。ですから、危機管理に対する対処方法を磨くということは、私たちの自治体職員としての全能力を磨くことでもあります」(「はじめに」より)
第2章「実践的危機管理マニュアル」では、震災、食品衛生、医療、子ども虐待、道路、河川、公園、交通などの各分野における危機管理について解説している。