トップページ > コラム > Net de コラム > Vol.36 画像データを開く前に~カラーマネジメントの始め方
日ごろパソコンなどで目にしている画像データ。実は、見える色がパソコンごとに微妙に異なっていることをご存じでしょうか。現在主流となっている液晶モニタは、モニタの裏面に内蔵されている発光体によって、表示される画像の色が微妙に異なります。これはメーカーの違いだけでなく、モニタ1台1台のレベルで違うといわれています。特にOA用途で使用するパソコンの液晶モニタでは、画面を鮮やかに見せるために出荷時の初期設定で青色が強くなるように調整されている製品が多いように感じます。そのため、撮影したデータをそういったモニタで表示すると実物の色よりも青色が強く出てしまうため、青色を抑えるといった不必要な色の補正を行いかねません。
印刷会社などと画像データのやりとりを行う場合、モニタによって色の見え方が違っていては、お互いに正しい色補正をすることができません。そのためには、画像データを扱うそれぞれの環境で、表示される色をできるだけ実物の色に近づける必要があります。このモニタの色を補正することを、カラーマネジメントといいます。
モニタの色の設定を行うためには、測定機器をモニタ画面に当てて、モニタの色を実物のものに近づけるように調整します。これをキャリブレーションと言います。正しく調整されたモニタ同士で画像データを見るとほとんど色の違いはありません。以前は高価だった測定機器も、現在では数万円程度で入手できます。画像データをモニタで見る前に、まずモニタが正しい色を表現しているかどうかを測定し、モニタの色を調整してみてはいかがでしょうか。
カラーマネジメントは、モニタの調整をすることだけを指すのではありません。モニタに写し出された画像データの色と、プリンター等で印刷した色を合わせることも含まれています。さらに、DTPで紙面を作成する側と印刷する側でプリンタの色の出力設定を同じにすることも必要です。プリンタごとに出力される色が微妙に違っていると正しい色校正はできません。皆さんに知ってもらいたいことは、まず「自分のモニタで見える色が、実物の色とどれだけ異なっているか」ということです。モニタの設定を変え、正しい色に近づける。まずここからカラーマネジメントを始めてみてください。