トップページ > コラム > Net de コラム > Vol.4 地域おこし成功の五つの要件
これまでに行われてきた全国各地の村おこしや町づくりなど地域おこしの取材を通じて、「地域おこし成功の五つの要件」なるものを以下のようにまとめてみた。
「何でも平等に、公平に」という行政によくみられる平均値的な発想を変え、「この指とまれ方式」で、地域おこしを始めたい人、やりたい人から支援をしていくべきだ。個人、地域社会はそれぞれ個性をもつために考え方の相違、取り組み姿勢に差異、温度差があるのは当然だからだ。したがって、地域おこしのための情報発信は「この指とまれ方式」でいくべきである。
「この指」にとまった人たちが活動を始め、ある程度の成果を上げると、それまで静観していた人たちも少しずつ影響を受け始め、「自分なら、私たちなら、もっとうまくやれる、もっとおもしろいものができる」と、競合心、競争心をおこす。そうして仲間の輪に加わり、切磋琢磨(せっさたくま)が始まる。最初は個々人の元気な行動から始まった活動が次第に地域全体の元気な動きになり、地域活動の厚み(内容・質)や幅(多様性・量)が充実することが多い。
個人の元気を地域全体の元気に繋(つな)げていくのは、ネットワーキングという緩やかな仲間づくりだ。そのため、「個人のやる気」を大切にして、無理なく可能な限り多様な考えをもつ人々が好きなときに好きなように集い、交流できる「緩やかな仲間づくり、その場づくり、その環境づくり」が重要である。
地域おこしに、リ-ダ-やコ-ディネ-タ-の役割が重要なのは言うまでもない。地域に個人的なしがらみをもち込まない民間の熱意ある人で、地域を超え、世代を超え、立場(職業、利害等)を超えて思考し、行動できる人材が不可欠である。それは地元住民でも、よそ者でもよい。この人の役割は仲間づくりを仲介することである。
地域内外の組織連携においては、各組織が支援者(サポ-タ-)意識を捨て、互いに主体的で対等な立場の協力者(パ-トナ-)に徹すべきだ。特に住民や民間業者の協力組織が行政の下請け組織にならぬよう留意すべきだ。同時に各組織は自らの得意分野でそれぞれ互角の力を養い、常に研鑚(けんさん)を図って、対等の立場を保っていくことが重要である。
(株)茨城総合研究所専務取締役を兼務。1950(昭和25)年生まれ。コンサルティング会社勤務等を経て現職。これまでに各省庁、地方自治体、中小企業団体等からの委託調査研究に従事。横浜市立大学や青森大学等での講師を歴任。日本広報協会広報アドバイザー