トップページ > コラム > 広がり続ける「広報力」空間 > Vol.6 変わっていくこと 変わらないこと~ICT時代だからこそ!“顔の見える”広報コミュニケーションを
本記事は、月刊「広報」連載「広がり続ける広報力空間~広報コミュニケーションの近未来を探る」から一部を抜粋したものです。
「受け手の興味の喚起」こそ、広報活動の第一歩であることは皆さんもよくご存じだと思いますが、その背後には今も昔も変わらない「広報における難関」(「広報活動を行う上での問題点」とも言い換えられますが)が存在していることにお気づきでしょうか?
そうです、「無関心」です。「反抗・反発」よりも厄介なのが、この無関心。関心のない人に何かに興味を持ってもらうことは非常に難しい。では、どうしたら関心を持ってもらえるのか、自分事として捉えてもらえるのか? 手段を工夫するだけでなく、根本的な考え方を今一度、見直すべきではないのか? これからの広報活動を考察する上での鍵が、ここに存在していると思います。
「誰」に伝えたいのか、伝えるべきなのか、という点を掘り下げてみましょう。
住民全員に知らせるべき案件は何でしょうか? 皆無ではなくても極めて少ないのではないでしょうか。効果的な広報を行う上で「住民の皆様全員に」というフレーズは禁句です。情報は往々にして受け手をセレクトします。例えば、子どものいない方々に向かって乳幼児健診のお知らせは意味がありますか? 幼児は市民法律講座よりもキャラクターが登場するイベントに行きたいのではないでしょうか。しっかりとターゲットを設定した上で広報活動を行うことは非常に重要です。
ターゲットの把握には、民間企業で広く行われているマーケティング手法(年齢、性別、職業といったデモグラフィックスと、興味のあること、余暇の過ごし方や趣味などのサイコグラフィックスを細かくセグメントし、ターゲット・マーケットを選定する方法)が参考になると思います。伝える相手がしっかり分かると、アプローチの方法が見えてきます。効果的なアプローチは相手の「興味」を喚起します。気になる異性をデートに誘う時、何に興味があるか、いつなら都合が良さそうか、と事前に周辺情報を収集し、どう切り出せば承諾してもらえるかとあれこれ考えますが、広報のアプローチも同じです。
「誰」が分かるからこそ、「どうやって」という工夫が生まれてきます・・・・・・
※記事の全文は、月刊「広報」2016年4月号でお読みいただけます。
1960年生まれ。北テキサス大学ジャーナリズム学部卒。PR代理店、広告代理店、コンサルティング会社でさまざまなPR、マーケティング業務に従事。2001年ジャガージャパン株式会社(現 ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社)に広報室長として入社。2011年4月から2015年3月まで横浜市市民局広報相談サービス部長。株式会社常磐植物化学研究所マーケティング部長などを経て、現職。