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広がり続ける「広報力」空間~広報コミュニケーションの近未来を探る Vol.2

進化するメディアと協働広報 「四つの視点」
~これからの「広報戦略」の方向性と「住民協働型広報」

本記事は、月刊「広報」連載「広がり続ける広報力空間~広報コミュニケーションの近未来を探る」から一部を抜粋したものです。

メディアの発達と行政―住民関係

20世紀に入ると、世論を形成するメディアは新聞だけでなくなってきた。ラジオ、テレビとメディアがより多様化していき、「自前の媒体」とも言うべき行政広報紙が発行され、さらに、インターネットの普及によるウェブサイト、最近では動画配信、SNSの発達の中で、それぞれのメディア特性を踏まえた「広報戦略」が求められてきたと言えよう。

特に、新聞、ラジオ、テレビなどのマスメディアは、情報の送り手が、ほぼ一方的に情報を受け手に伝達する機能が強いが、SNSなどの普及で、受け手である住民自身も、情報の発信者として位置づけなければならなくなってきている。

すなわち、行政は、もっぱら行政情報を発信するサイドとして有効なメディア選択をする「広報広聴戦略」を充実させるだけでなく、住民側の情報発信機能の強化も踏まえながら、住民自身を情報発信者として協働の対象者として捉えていく必要性に迫られている。

このような問題意識のもとに、「メディアが多様化している中での広報広聴戦略」「住民との協働の結果として広報広聴」のあり方について、四つの視点から指摘したい。

 

ニーズに応じた情報提供は迎合にあらず

第一の視点は、住民と行政の距離を縮めるために、分かりやすい広報を心掛けることは言うまでもないが、そこに「迎合」があってはならない、ということだ。

自治体のウェブサイトが一般化しつつある頃、問題とされたのは、広報紙と異なり、サーバーの容量さえあればテキストデータの上限がないことから、膨大な情報量がPDFファイルなどの形で自治体のウェブサイトに蓄積され、ユーザーである住民にとって、どこをどう調べれば、自分が求めている情報があるのか、分かりにくいという問題点があった。

その後、検索機能などを充実させ、必要としている情報にたどり着ける機能を充実させて、住民にとって必要な情報が入手しやすい工夫が重ねられてきたが、「住民にとって必要な情報」だけに特化していいかどうか、という問題が生じてきた。

広報戦略の中で、「そのままでは必ずしも住民が関心を持っているとは言えないが、行政にとって、住民に関心を持ってほしい課題について、重点的に広報していく」という姿勢が、メディアが多様化しても、より求められるのではないだろうか……

※記事の全文は、月刊「広報」2015年12月号でお読みいただけます。

かわかみ・かずひさ

専門は、社会心理学、政治心理学、戦略コミュニケーション(広報・広告・情報操作)論。日本広報協会・広報アドバイザー。全国広報コンクール広報紙部門審査委員。「Nスタ」(TBS系)コメンテーター。著書に、『昭和天皇玉音放送』(2015年/あさ書房)、『「反日プロパガンダ」の読み解き方 歪められた歴史認識を正すために』(2013年/PHP研究所)、『「橋下維新」は3年で終わる 民衆に「消費」される政治家たち』 (2012年/宝島社新書)ほか多数

 

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