今年の「看護の日」ポスターを手にした 広報部長を囲む広報スタッフ。 一番左が半田さん |
「5月12日って何の日か知ってる?」―友人・知人に尋ねる癖がついたのは、私が日本看護協会の広報部に転職してからだ。「知らない、何?」と返された私は「ナイチンゲールの誕生日で、“看護の日”なんだよ」と答えながら、「看護の日グッズ」を渡す。
「看護の日」は、旧厚生省により1990年12月に制定された。ノンフィクション作家の中島みち氏の発案・呼びかけにより発足した「看護の日の制定を願う会」(日野原重明氏、柳田邦男氏、橋田壽賀子氏など)の働きかけによるもので、高齢社会を担う子供たち・国民が、広く「看護の心」「助け合いの心」を分かち合えるようにという願いが込められている。
翌年の5月からは、毎年「看護フォーラム」などのイベントが開催されてきた。本会が実施する広報活動は、5月12日の朝日・読売新聞の朝刊全国版への15段全面広告の掲載、イベントの取材誘致リリース発行、グッズ制作などがあり、幅広い。新聞・雑誌などに掲載された2007年の看護の日関係記事は、全国で513件(4月1日~5月31日)。紙面の大きさを広告料金換算すると、なんと4億2,800万円になった。恐るべし、パブリシティ効果!
都道府県の看護協会や、病院・施設でも「看護の日」を中心に、さまざまな催しが行われる。お勧めは、やはり「ふれあい看護体験」。これはぜひ、体験してほしい。地元の病院や施設で1日だけ看護師の体験ができるというもので、看護師の仕事に興味をもつ高校生が主な参加者だが、主婦や社会人ももちろん参加できる。リピーターもいるほどだ。
かくいう私も入職1年目に、参加した。看護職でもなく入院もしたことがなかった私が、看護師の仕事を広報するというのは実感が伴わず大変なことで「看護の仕事を体験してきなさい!」と、研修に出されることになったのだ。
ナースウエアを身に付け髪を結うと、気分が引き締まる。やはり、見学するのと、「1日看護師」と言えども体験するのとは違う。「万歩計をつけてくればよかった……」と思うほど、歩き回る。ギャグではなく、足がつったほどだ。かと思えば、高齢の患者の移動や足浴、食事の介助の際は、患者のスピードに合わせて、10分にも20分にも感じられるような「待つ」ことが求められる。でも、1日が終わり、担当した患者さんに「ありがとう、楽しかったよ」と言われた時の嬉しさといったら! 看護師のやりがいを垣間見た瞬間だった。
最近テレビや新聞を見ると、殺人事件や虐待といった悲しくなるニュースが多い。「看護の日」の行事は単なるお祭りのようだけれど、この「看護の日」の広報で、みんなの心の中に眠っている「看護の心」が動き出すようになれたらいいなと、ひそかに、野望を抱いている。
【看護の日のご紹介】
※「ふれあい看護体験」や各県の行事については、準備ができ次第、掲載します(3月~)。お急ぎの方は、都道府県看護協会へ直接お問い合わせください。
はんだかよこ
入職8年目。入職当時から広報部に配属。
現在の担当業務は、日々の取材対応、ニュースリリースの発行、会員向け機関紙の取材・編集(毎月15日発行)、入会案内リーフレットの制作、広報委員会の事務局作業など。2005年からは、朝日新聞社と共催で「看護のある風景」写真コンクールを実施。