ウェブアクセシビリティの普及活動を行う「日本ウェブアクセシビリティ普及ネットワーク」(以下、普及ネットワーク)は、ウェブアクセシビリティを比較的容易にチェックできる「簡易チェックシート用検証ツール」を開発し、ネット上で公開しています。HTMLを知らなくても「言語属性が違う」「見出し1がない」などの技術的な確認を行うことができます。
普及ネットワークは障害をもつ当事者とサポートする健常者で組織されており、「障害を価値として、障害者の視点を大切に」をモットーに、ウェブアクセシビリティに対応したサイトの制作やアクセシビリティに関する研修会などを開催しています。
普及ネットワークは毎年、都道府県・政令指定都市・市のウェブサイトについて「自治体サイトJIS X 8341-3:2010対応状況」を調査し、結果を公開しています。2014年調査結果を12月5日、普及ネットワークが運営する「情報バリアフリーポータルサイト」で公開しました。
「自治体サイトでよく見かけるのは、仕様書に『ウェブアクセシビリティ対応』と記載してあるにもかかわらず、公開されたサイトがアクセシビリティに対応しておらず、担当者も気づいていないというケースです。これは、発注者である自治体担当者というよりは、専門知識を持っているはずの受注者側(制作会社)に、アクセシビリティに関する知識がないのではないかと考えられます。発注先の知識を見抜くためにも、検証ツールは有効と思われます」(普及ネットワーク・事務局)
簡易チェックシート用検証ツールを使うには、ポータルサイトの関連ページを開き、簡易チェックシートをダウンロードまたは印刷して手元に用意。検証したいサイトのアドレスを画面に入力すると、画像とデザインを排除し、見出しを特定した画面が表示されます。簡易チェックシートにしたがって確認します。
「このツールを活用すれば『言語属性がない』『ページタイトルがおかしい』『見出し1がない』『代替テキストが間違っている』など、専門的なチェックを簡単に行うことができます。あくまで簡易チェックですが、ウェブアクセシビリティを意識していなければNGとなりやすい項目も含まれています。自治体担当者が専門知識を学ぶのは大変なことですので、こうしたツールをうまく活用することで、より良いサイトを構築してほしいと思います」
同ポータルサイトでは、より専門的な「実装チェックリスト」や「20分でわかるウェブアクセシビリティ」などの解説書をダウンロードすることができます。