さまざまな分野のウェブサイトの評価・アドバイスを手掛けるゴメス・コンサルティング株式会社(東京都)では、全国の自治体サイトを利用者視点で評価した「自治体サイトランキング」を同社のサイトで公表しています。
暮らしに関する情報の入手先として身近になってきた一方で、ユーザビリティ(使いやすさ)や情報量などで地域格差が指摘される自治体サイト。同社では、より総合的な評価によるランキング情報で、「自治体サイト全体のユーザビリティやコンテンツの向上に役立ててほしい」と期待しています。
同社ではこれまで、企業のIR(投資家向け情報)サイト、ホテルチェーン、オンラインバンクなど28分野における業界のサイトを評価し、ランキングを公表していますが、自治体サイトは今回が初めて。
自治体サイトランキングでは、全国1,778の自治体(市区町村)が開設するウェブサイトを対象に、30の評価項目による予選調査で一定基準を満たした170サイトを本選調査としてノミネート。それらの自治体サイトを、「ウェブサイトの使いやすさ」と「情報の公開度・先進性」の2つの切り口で設定した239の調査項目で調査し、上位50サイトをランキングしました(調査期間は2009年12月1日~2010年3月10日)。
「ウェブサイトの使いやすさ」では、表示スタイルや操作、リンクなどにおける十分なアクセシビリティの確保、メインメニューの一貫性やパンくずリストの設置状況、更新情報の配信や検索ツールの充実度などの項目で評価。「情報の公開度・先進性」では、行政情報のほか、ごみや医療、防災など住民生活にかかわる情報提供の充実度、メール配信や問い合わせ窓口、FAQコンテンツといった、インターネットのメリットを生かした広報や行政サービスにかかわるコンテンツの充実度などの項目で評価しています。
調査範囲は幅広く、各サイトのトップページや行政情報などのコンテンツページから、図書館サイトや施設予約、電子申請などのオンラインサービス、動画配信などの外部コンテンツまでが対象です。
評価の結果、総合ランキング第1位は大阪市で、「ウェブサイトの使いやすさ」「情報の公開度・先進性」の両カテゴリで1位でした。
同市サイトが高く評価されたのは、「文章デザインへの細やかな工夫」。例えば「他市区町村から引越してきたときは、転入届を出してください。」(引越に関するページ)、「結婚したら婚姻届を提出してください。」(結婚に関するページ)など、話しかけるような親しみやすい表現で、簡潔に分かりやすく記述。また、それぞれ「転入届」「婚姻届」といったキーワードから、関連の解説ページにリンクされている点も、「煩雑になりがちなテキスト情報に、分かりやすさへの工夫がある」との評価を受けました。
そのほか、市民向け、事業者向け、観光向け、市政情報などに区分された各ページに豊富なコンテンツが用意されている点や、それら膨大なコンテンツが一貫性のある分かりやすいレイアウトで整理されている点も評価されました。
ランキングでは、総合ランキングのほか、「使いやすさ」「情報の公開度・先進性」の切り口別や、政令指定都市、中核市、特例市、特別区の4つの都市タイプ別に結果を公表。総合ランキングと切り口別ランキングでは上位サイト共通の特徴として、「CMSによるサイト全体における一貫した操作性」「質問の検索機能やアクセスランキングによる細やかな情報提供」などを挙げています。
一方、共通の課題として、「行間や文字サイズなどがJIS等の基準に達していない」といったデザイン上の不備や、外部コンテンツへのジャンプに関して、「事前情報なしで突然ページが立ち上がる」「(施設予約サービスなどで)利用方法が解説されていない」などの問題が見られたことを挙げ、「ウェブサイトがびっくり箱とならないよう、利用者の立場に立ったナビゲーションへの配慮が必要」と指摘しています。